2020年3月、シリコンバレーで救急車に乗ったとき、私の口から出た英語は「This is emergency!」だけでした。そのころ私は、英検準1級を持っていました。
※アイキャッチ画像は、イメージです(AIで作成。写真に写っている人物は、実在の人物ではありません)。
この記事は、あの夜に言えなかったこと、そのあとの英語の学び直し、そして「今ならこう言う」を、まとめたものです。救急車を呼ぶとき、症状を伝えるとき、説明が分からないときの英語を、表にしました。
この記事で分かること:
- 2020年3月の夜に、何が言えて、何が言えなかったか
- その後、英語の学び方をどう変えたか
- 911に電話するときに、最初に何を言えばいいか
- 症状を伝える英語と、説明が分からないときの英語
- 病院で「通訳をお願いします」と言ってよい理由
2020年3月の夜、何が言えなかったのか?
夜、突然、お腹の下に激痛が走りました。刃物で刺されたような、それでいて鈍い痛みです。立っていられず、床で動けなくなりました。
911に電話してくれたのは、妻でした。私は、電話口で話せる状態ではありませんでした。ちょうど新型コロナが広がり始めた時期で、救急隊は部屋まで上がってきませんでした。私は、マンションの階段を、一人で這うように降りました。
救急車の中で、私が伝えたかったのは、次の三つです。
- 胃のあたりが痛い
- 原因は分からない
- お腹の下を、刃物で刺されたような、鈍い痛みがある
どれも言えませんでした。言いたいことは、頭の中に日本語ではっきりあったのに、出てきたのは「This is emergency!」の一言だけです。
病院に着いてからも、同じでした。医師の説明が理解できず、自分の体に何が起きているのか、これからどんな処置をするのかが、分かりませんでした。診断は、尿道結石でした。
試験には受かっていたのに、本番では役に立たなかった。資格の英語と、痛みと恐怖の中で口から出る英語は、別のものだと、はっきり分かった夜でした。
そのあと、英語の学び方をどう変えたのか?
搬送のあと、目標を「点数」から「非常時に口から出ること」に変えました。やったことは、次の四つです。
- TOEICに本気で取り組んだ。2022年に、L&R 900点(3月)、S&W 340点になりました
- Cambly で、ネイティブと話す時間を作った。
- 音読を続けた。英語は、知識ではなく、筋肉のようなものだと考えたからです
- 英語のテレビや、カンファレンスで、耳を慣らした。速い英語や、訛りのある英語に慣れるためです
もう一つ、聞いた表現をメモにまとめて、会議や雑談で自分も使うようにしました。使ったことのない表現は、いざというときに、出てきません。
911に電話するとき、最初に何を言えばいいのか?
アメリカの自治体の公式案内(シアトル市 What to Tell 9-1-1、2026年11月3日に確認)には、次のことが書かれています。
- まず、必要なのが警察・消防・救急のどれかを、短く伝える
- 英語以外の言語で話したいときは、英語で緊急の種類と話せる言語を伝える。そうすると、通訳が電話に入る
- 場所は、正確な住所か交差点が一番よい
- 通話を切らない。担当者が「必要な情報がそろった」と言うまで、電話を続ける
- 質問が関係ないように聞こえても、担当者に任せて、できるだけ直接答える
地域によってやり方は少し違います。住んでいる地域の911の案内も、確認しておいてください。
| 場面 | 英語 |
|---|---|
| 救急車を呼ぶ | I need an ambulance. |
| 日本語の通訳を頼む | I speak Japanese. / Japanese, please. |
| 住所を伝える | My address is (番地・通り名・市). |
| 家族が代わりに話す | My husband is in severe pain. He can’t talk right now. |
| 動けないと伝える | He can’t stand up. |
| ゆっくり話してほしい | My English is limited. Please speak slowly. |
症状は、英語でどう伝えるのか?
あの夜に言いたかった三つを、今なら、こう言います。
| 言いたかったこと | 今ならこう言う |
|---|---|
| 胃のあたりが痛い | My stomach hurts really badly. |
| 原因は分からない | I don’t know what’s causing it. |
| お腹の下を刺されたような、鈍い痛み | It feels like I’m being stabbed in my lower abdomen. It’s a deep, dull pain. |
そのほか、救急隊や病院で、よく使いそうな言い方です。
| 伝えたいこと | 英語 |
|---|---|
| いつから | It started about an hour ago, suddenly. |
| 痛みの強さ | The pain is 10 out of 10. |
| 痛みの波 | It comes and goes. |
| 吐き気 | I feel nauseous. |
| 薬のアレルギー | I’m not allergic to any medication. |
声に出して練習するための、まとまった文です(住所は例です)。
I need an ambulance. I speak Japanese. My address is 123 Main Street. I have a sharp pain in my lower abdomen. It started suddenly, about an hour ago. I don’t know what’s causing it. Can I have a Japanese interpreter at the hospital?
説明が分からないとき、何と言えばいいのか?
あの夜の私に、一番必要だったのは、この種類の一言でした。
- Can I have a Japanese interpreter, please?(日本語の通訳をお願いできますか)
- Could you explain that in simpler words?(もっと簡単な言葉で説明してもらえますか)
- Could you write that down for me?(書いてもらえますか)
- What happens next?(次に何をしますか)
「通訳をお願いします」と言うのは、遠慮することではありません。米国の連邦規則 45 CFR 92.201(Cornell Law School のページ、2026年11月3日に確認)は、対象になる医療機関などに、英語が得意でない人への言語支援を、無料で、正確に、適切な時期に提供することを求めています。本人に通訳を連れて来させたり、費用を負担させたりすることは、できません。資格のない家族や、子どもに通訳をさせることも、緊急時の一時的な対応など、限られた場合を除いて、認められていません。
どの医療機関が対象になるかは、規則で決まっています。実際に通訳を頼めるかどうかは、病院ごとに違うので、頼んでみる価値があるということです。
仕事でも使えるのか?
救急の英語は、会議で「分からない」を伝える英語と、同じ形をしています。
- Could you explain that in simpler terms?(もう少しかみ砕いて説明してもらえますか)
- Let me make sure I understand.(理解が合っているか確認させてください)
- What’s the next step?(次のステップは何ですか)
よくある質問
英検やTOEICの勉強は、意味がないのですか?
意味はあります。私も、搬送のあとにTOEICに取り組みました。ただ、資格は土台です。非常時に口から出る英語は、音読や会話で、別に鍛える必要があると感じています。
海外赴任の前に、まず何を覚えるべきですか?
私なら、次の三つです。自宅の住所を英語で言えること。症状を一文で言えること。そして「Can I have an interpreter?」です。
※この記事は、私の体験にもとづくもので、医療上の助言ではありません。体調に異変を感じたら、ためらわずに救急や医療機関に連絡してください。
私が何者で、どんな経緯で英語をやり直しているかは、運営者情報に書いています。







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